受験百景(予備校講師のブログ)

「受験」や「入試問題」に関係する話、日々の雑感を様々な視点から書きます。備忘録も兼ねていますので、くだらない話もあるかもしれません。

聖文新社の本の一部、金子書房へ

 

うれしい

 

 

2020年7月末で、「聖文新社」が廃業してしまいました。

 

聖文新社の書籍はもう買うことができないと思われましたが、いくつかの本について、金子書房が刊行を引き継ぐと発表されました。

 

以下のプレスリリースを参考にしてください。

www.kanekoshobo.co.jp

 

 

現在、以下の11冊の引継ぎが決まっています。

(刊行時期は未定です。)

 

・『新 マスター英文法』(中原道喜/著)
・『新訂増補 マスター英文解釈』(中原道喜/著)
・『新英文読解法』(中原道喜/著)
・『誤訳の構造』(中原道喜/著)
・『誤訳の典型』(中原道喜/著)
・『誤訳の常識』(中原道喜/著)
・『編入数学徹底研究』(桜井基晴/著)
・『編入数学過去問特訓』(桜井基晴/著)
・『編入数学入門』(桜井基晴/著)
・『編入線形代数徹底研究』(桜井基晴/著)
・『編入微分析分徹底研究』(桜井基晴/著)

 

『誤訳の構造』『誤訳の典型』『誤訳の常識』の3冊は特にオススメです。

Amazonなどで高値になっているものはいずれ安くなるでしょう。)

 

 

 

 

聖文新社の中で特に重要な資料であった「主要大学 数学入試問題 過去問 シリーズ」は、現在のところ引き継がれないようです。

 

50年分も入試問題をまとめてくれている書籍は他にありません。

 

このシリーズが復刊することを待ち望みます。

 

 

 

 

 

聖文新社が廃業を決定したときの記事です。

jukenn.hatenablog.jp

 

横浜国立大学、2次試験を行わないことを決定(個人的に横浜国立大学は嫌い)

 

f:id:jukenn:20200801024533j:plain

 

 

 

横浜国立大学から、令和3年度の「入学者選抜要項」が発表されました。

 

新型コロナウイルス感染症対策として

 

「2次試験を実施しない」

 

という驚きの内容でした。

 

つまり、横浜国立大学の合否は「共通テスト」だけで合否が決まるということです。

 

配点は変更されませんが、本来の2次試験の得点はすべて共通テストで代替することになっています。

 

例えば、経済学部は

 

〈共通テスト〉

国語:200点

地歴公民:200点

数学:200点

理科:100点

外国語:200点

〈2次試験〉

数学:600点

外国語:600点

 

という配点ですが、2次試験の数学と外国語が「共通テスト」で代替されることになり

 

〈共通テスト〉

国語:200点

地歴公民:200点

数学:800点

理科:100点

外国語:800点

 

に変更されることになります。

 

横浜国立大学志望者は、従来であれば2次試験対策に割いていた時間をすべて共通テスト対策に使うのでしょう。

 

また、理工学部では、2次試験を実施しないことに伴い「数学Ⅲ」が不要になります。

(共通テストには、「数学Ⅲ」が存在しない。)

 

横浜国立大学一本の人は、この段階で「数学Ⅲ」を捨てることになります。

 

私大を併願するという人は判断が難しいところです。

 

第2志望以下の受験のために「数学Ⅲ」を勉強するというのはあまりに負担が大きいです。

 

「数学Ⅲ」が不要な理系学部を受験する、共通テスト利用入試で滑り止めを抑える、というのが現実的でしょうか。

 

どの学部を受験するにしても、勉強の方針を大きく変えなければならないでしょう。

 

不安な受験生は、信頼できる大人に相談しましょう。

 

個人的には、横浜国立大学にあまり良い印象を持っていませんでしたが、この対応でそれが決定的になりました。

 

「採点基準は予備校の模試と変わらない。」と言う教授もいました。

(予備校の模試の採点を本当に知っているのか?)

 

「(数学で)最大値を求めよという出題に対して、最大値のみ答えた場合は当然減点。最大値をとる値が必要。」というおかしなことを言う教授もいました。

 

今回の件で、横浜国立大学もついにここまで堕ちたか…と感じました。

 

駅から遠いこともあり(これは関係ないか)、あまりオススメはしない大学です。

 

 

 

 

 

詳細は横浜国立大学から発表された資料で確認してください。

www.ynu.ac.jp

 

 

 

人気の過去の記事です。良かったらご覧ください。 

jukenn.hatenablog.jp

 

jukenn.hatenablog.jp

 

jukenn.hatenablog.jp

 

jukenn.hatenablog.jp

 

 

 

【定義と定理シリーズ】平方根 ― 2020年尾道市立大(前期)

 

 

出典:2020年 尾道市立大(前期) 

内容:平方根


次の問いに答えなさい。ただし、(1)~(4)は答えのみを書きなさい。

(1)  16平方根を答えなさい。

(2)  \sqrt{16} を整数で答えなさい。

(3)  a >  0 とする。 a平方根のうち正であるものを、根号を用いて表しなさい。

(4)  b <  0 のとき、 \sqrt{b^2} を根号、指数表記、絶対値記号を用いない形で表しなさい。

(5)  x >  0 y >  0 とする。平方根の定義にもとづいて  \sqrt{x} \sqrt{y}=\sqrt{xy} が成り立つことを証明しなさい。


 

 

平方根」に関する基本的な問題です。 

 

中学校の内容ですが、正答率はどうでしょうか?

 

「簡単すぎる」と思う人と、「高校生でも意外とできない」と思う人に分かれそうです。

 

 

 

jukenn.hatenablog.jp

 

 

入試問題鑑賞「水戸黄門(Part 2)」

 

 

水戸黄門

 

 

 ※「入試問題鑑賞」では、解答を出すことではなく見た目を楽しむことに重点を置いて入試問題を紹介しています。

 

2020年 茨城大学・理学部(後期) 数学 の問題です。

  


助さんと格さんのいずれか一方が、黄門様の使者として江戸に出向くことになった。そのために、次の方法で使者を決める。はじめに、助さんと格さんは共に2ポイントずつ持っている。助さんと格さんが剣道の試合を繰り返し行い、試合をするたびに、その結果に応じてポイントが次のように移動する。

もし助さんが勝てば、格さんから助さんに1ポイント移動する。

もし格さんが勝てば、助さんから格さんに1ポイント移動する。

なお、各回の剣道の試合で助さんが勝つ確率は  p 、格さんが勝つ確率は  q であり、引き分けは無いとする。

どちらか1人のポイントが4になるまで剣道の試合を繰り返し、ポイントが4になったものが使者となる。ちょうど  n 回目の試合で助さんが使者に決まる確率を  S_n 、格さんが使者に決まる確率を  K_n とする。ただし、 n自然数とする。以下の各問に答えよ。

 

(1)  S_1 S_2 S_3 S_4を求めよ。

(2)  S_{2k-1} と  S_{2k} を求めよ。ただし、 k自然数とする。

(3) 助さんが使者となる確率  S=\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}S_n を求めよ。また、格さんが使者となる確率  K=\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}K_n を求め、  S+K=1 であることを証明せよ。 


 

 

水戸黄門」を題材にした問題です。

 

茨城大学の出題なので、いわゆる「ご当地問題」と呼ばれるものです。

水戸黄門水戸藩の第2代藩主で、茨城県と関わりの深い人物です。

 

さて、助さんと格さんが剣道の試合を行ったとありますが、この時代に剣道はあったのでしょうか?

 

気になったので調べてみました。

 

水戸黄門徳川光圀)は、1628年7月11日に生まれ、1701年1月14日に亡くなっています。

 

一方で、剣道は、長沼四郎左衛門国郷という人物が、1711年~1715年に防具を作り、竹刀を用いる打ち込み稽古を確立したことから始まっているようです。

 

ということは、水戸黄門が生きていた時代に、助さんと格さんが剣道を行っていたというのは歴史的にはおかしいようです。

 

数学の入試問題なので、そこまでは気にしないで作っているのかもしれません。

 

茨城大学では2011年にも、「水戸黄門」の問題が出題されています。

同じ出題者でしょうか?

 

jukenn.hatenablog.jp

 

 

185系が普通列車として運用されていた頃

 

f:id:jukenn:20200722235105j:plain

高輪ゲートウェイ駅にて

 

 

短い昔話です。

 

代々木ゼミナール大船校(湘南キャンパス)に通っていました。

 

大船駅の東口を出ます。直進すると代々木ゼミナールの校舎があります。

 

A館(駅から遠い方)とB館(駅から近い方)に分かれています。

 

「大船に建物2つも校舎を作るなんてどうかしている」と思いましたが、新宿に26階建ての校舎を作ったことを考えると、何もおかしくないかもしれません。

 

その帰り、大船駅から「普通・伊東行き」の東海道線に乗ることが多くありました。

 

当時は、なんと185系普通列車として使われていました。

普通列車としての運用は2013年3月15日に終了しています。)

 

そんな185系も2021年春で引退です。

 

 

 

興味があれば、「鉄道」に関する過去の記事もご覧ください。

 

jukenn.hatenablog.jp

 

jukenn.hatenablog.jp

 

 

天の川銀河に存在する宇宙文明の数

 

地球

 

 

 

東京大学教養学部の講義で印象に残っているものがあります。

 

蜂巣泉教授の「宇宙科学」という講義です。

 

この中で扱った「ドレイクの式」が特に記憶に残っています。

 

概略だけ紹介します。

 

われわれの銀河系(天の川銀河)に存在する宇宙文明の数  N を予測する式で、以下の通りです。

 

 N=R_* \cdot f_p \cdot n_e \cdot f_l \cdot f_i \cdot f_c \cdot L

 

 R_*:銀河系において1年あたり、新しい恒星が生まれる数。*はstarを表す。

 

 f_p:恒星が太陽系のような惑星系を持つ割合。pはplanetの頭文字。

 

 n_e:ひとつの恒星あたり、地球のように生命発生にとって都合の良い条件を備えた惑星の数。eはearthの頭文字。

 

 f_l:生命の発生に適した条件を持つひとつの惑星あたり、生命が発生する確率。lはlifeの頭文字。

 

 f_i:生命が発生した場合、その生命が進化して、知的生命になることができる確率。iはintelligenceの頭文字。

 

 f_c:知的生命が、我々地球人のように技術文明をつくり上げることのできる確率。cはcultureの頭文字。

 

 L:文明社会の持続する時間(年数)

 

各変数に適切な数値を代入することで、 N を求めることができます。

 

例えば、

 R_*=10

 f_p=0.1

 n_e=1

 f_l=1

 f_i=0.1

 f_c=0.1

 L=100

とすると、

 N=10 \times 0.1 \times 1 \times 1 \times 0.1 \times 0.1 \times 100=1 

となり、天の川銀河に存在する宇宙文明の数は1個(地球だけ)という結果を得ます。

 

これは一例ですが、各変数の値をより正確に推定することで、 N の値が変わります。

 

 

 

 

 

さて、この講義を担当していた蜂巣泉教授がちょうど今年に東大を退官されたようです。東大の教養学部報(東大教養学部の新聞のようなもの)に掲載されてました。

www.c.u-tokyo.ac.jp

 

 

 

この教養学部報は非常に面白く、毎回楽しみにしていたことが懐かしいです。

 

特に優れた記事が精選集として書籍になっています。

興味のある方は読んでみてください。

 

 

 

 

特急ロマンスカーで通勤 ー 「密」を回避せよ

 

ロマンスカー

 

 

小田急特急ロマンスカーさがみ84号新宿行きです。

 

5号車は誰も乗っていないので、貸切状態です。

 

急行や快速急行は7月になって混雑し始めたので、新型コロナ対策としては非常に有効でしょうか。

 

6月までは「新型コロナウイルスに関して、不安を感じられるお客様は座席を移動しても構いません。」という趣旨の車内放送がありましたが、7月になってからはなくなったようです。(咳をしている人などがいたら車両を移れ、ということです)

 

4号車には何人も乗客がいました。

 

詳しい仕組みは分かりませんが、券売機で特急券を購入すると特定の号車に固まるようです。しかも乗客がまばらでも、座席が前後していたり、あまり配慮のない指定の仕方になっています。

 

これを回避するには、ロマンスカー@clubなどを利用して、座席を指定します。

(発車時刻の45分前まで座席の指定が可能、その後は号車の指定のみ可能)

 

www.web-odakyu.com

 

 

 

しかし、自分が選んだ座席の前後に券売機で購入した人が来るかもしれません。

 

そこで、券売機の乗客がどの号車になるのか(ならないのか)を把握しておく必要があります。

 

さがみ84号では1~4号車になることが多いようです(経験則。購入する駅によっても違うのか?)

 

そういうめんどくさいことが嫌な人は、指定された座席を無視して空いている座席に移れば良いです。指定席といいながら、座席の移動が認められています。

 

小田原方面に向かうホームウェイはほとんど満席なので、常に「密」になってしまいます。

 

以上、とりとめのない雑談でした。