入試問題鑑賞「水戸黄門(Part 2)」
※「入試問題鑑賞」では、解答を出すことではなく見た目を楽しむことに重点を置いて入試問題を紹介しています。
2020年 茨城大学・理学部(後期) 数学 の問題です。
助さんと格さんのいずれか一方が、黄門様の使者として江戸に出向くことになった。そのために、次の方法で使者を決める。はじめに、助さんと格さんは共に2ポイントずつ持っている。助さんと格さんが剣道の試合を繰り返し行い、試合をするたびに、その結果に応じてポイントが次のように移動する。
もし助さんが勝てば、格さんから助さんに1ポイント移動する。
もし格さんが勝てば、助さんから格さんに1ポイント移動する。
なお、各回の剣道の試合で助さんが勝つ確率は 、格さんが勝つ確率は であり、引き分けは無いとする。
どちらか1人のポイントが4になるまで剣道の試合を繰り返し、ポイントが4になったものが使者となる。ちょうど 回目の試合で助さんが使者に決まる確率を 、格さんが使者に決まる確率を とする。ただし、 は自然数とする。以下の各問に答えよ。
(1) 、、 と を求めよ。
(2) と を求めよ。ただし、 は自然数とする。
(3) 助さんが使者となる確率 を求めよ。また、格さんが使者となる確率 を求め、 であることを証明せよ。
「水戸黄門」を題材にした問題です。
茨城大学の出題なので、いわゆる「ご当地問題」と呼ばれるものです。
水戸黄門が水戸藩の第2代藩主で、茨城県と関わりの深い人物です。
さて、助さんと格さんが剣道の試合を行ったとありますが、この時代に剣道はあったのでしょうか?
気になったので調べてみました。
水戸黄門(徳川光圀)は、1628年7月11日に生まれ、1701年1月14日に亡くなっています。
一方で、剣道は、長沼四郎左衛門国郷という人物が、1711年~1715年に防具を作り、竹刀を用いる打ち込み稽古を確立したことから始まっているようです。
ということは、水戸黄門が生きていた時代に、助さんと格さんが剣道を行っていたというのは歴史的にはおかしいようです。
数学の入試問題なので、そこまでは気にしないで作っているのかもしれません。
茨城大学では2011年にも、「水戸黄門」の問題が出題されています。
同じ出題者でしょうか?