大学入試懇談会、来年度も中止に
日本数学教育学会が主催する「大学入試懇談会」というものがあります。
日本数学教育学会のwebページでは、次のように紹介されています。
高大接続に向け互いの理解を深め合う機会として、大学入試問題に関する講評を通して、現在求められている数学的能力や人物像などとともに、高等学校における数学教育の現状と課題を共有し、指導の充実・改善を図ることを目的とする。
このように書かれていますが、実態としては
大学の教授が自校の入試問題(数学)の講評を行い、問題作成の意図、採点方法、採点基準、各問題の出来(平均点)、来年度以降の出題などを述べる
という講演会になっています。
学校の先生や予備校講師などの指導者、そして受験生にとっては、非常に有益な機会です。
一般公開されている範囲では手に入らない、かつ、知っていると受験で有利になる情報が数多く手に入るからです。
(高校生は少数参加していますが、ほとんどの参加者は指導者です。指導者から受験生に情報が伝わります。)
詳細は書けませんが、例えば
・○○大学では、○○という記述をすると減点される。
・○○大学の大問○の配点は実は世間の推測とは異なり○点だ。
・○○大学では○○ということを重視して問題作成をしている。
・○○大学の大問○の予備校の解答速報はダメだ。
・○○大学では○○という単元が出る。
・共通テストの○○は○○だ。
というような情報が手に入ります。
当然、これらの情報を知っている受験生の方が有利でしょう。
「受験は情報戦である」ということを深く感じます。
この「大学入試懇談会」には非常に厳しいルール(守秘義務)があり、
・撮影・録音等は全面禁止
・講演者の許可なく各種ホームページや冊子、Web 媒体を通じた講演内容の掲載、発信等を禁止
と取り決められています。
価値のある情報は一握りの人しか持てないようになっているのです。
(受験ではよくあることですが…)
ある出版社がこの守秘義務に違反する行為をしたと、日本数学教育学会から発表されていました。
そして、次年度も「大学入試懇談会」は中止になるようです。
(今年度は新型コロナウイルスの影響で中止でした。)
非常に残念です。
より一層、重要な情報が外に出なくなりそうです。
興味があれば、過去の記事もご覧ください。