受験百景(予備校講師のブログ)

「受験」や「入試問題」に関係する話、日々の雑感を様々な視点から書きます。備忘録も兼ねていますので、くだらない話もあるかもしれません。

パブリッシャーズ・レビューを読もう(無料で勉強ができます)

 

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パブリッシャーズ・レビューをご存じでしょうか?

 

パブリッシャーズ・レビューは、東京大学出版会白水社みすず書房の3社が、各月15日に発行するタブロイド判出版情報紙です。

 

無料で購読することができます。

 

東京大学出版会が5月・11月、白水社が1月・4月・7月・10月、みすず書房が3月・6月・9月・12月を担当しています。

 

書評や新刊案内、エッセイや連載コラム、その他の案内などが掲載されています。

 

www.msz.co.jp

 

 

 

東京大学出版会白水社みすず書房の3社が出している書籍は、非常に面白いのですが、量・質ともに重いものが多く、忙しい人は毎月の新刊を読み切れないかもしれません。

 

パブリッシャーズ・レビューを読むことで、どんな本が出ているのか、世の中でどんなことが話題になっているのかを手軽に知ることができます。

 

受験生にとっては、良い息抜きになるとともに、国語や英語の学力向上につながるでしょう。

 

2020年9月15日号では、ブライアン・ウォーカー / デイヴィッド・ソルト『レジリエンス思考』黒川耕大訳(みすず書房が紹介されていました。

 

 

 

 

レジリエンス」は、2020年センター試験第1問(河野哲也『境界の現象学』)でも取り上げられたテーマです。

 

(ちなみに、河野哲也の『意識は実在しない』が2012年の東大入試で、出題されています。)

 

このセンター試験の問題の中で、「レジリエンス」は次のように紹介されています。

 

レジリエンス(resilience)』とは、近年、さまざまな領域で言及されるようになった注目すべき概念である。この言葉は、「攪乱を吸収し、基本的な機能と構造を保持し続けるシステムの能力」を意味する。

 

 パブリッシャーズ・レビューの中では

 

各地の自然は「社会生態系」であり、「外乱に対してその機能を維持する能力(レジリエンス)」を有している。

 

 と説明されています。

 

 

 

 

 

また、英語の入試問題でもテーマになることがあります。

 

2015年早稲田大(文化構想学部)第2問では

 

Andrew Zolli and Ann Marie Healy say in their book Resilience that defining resilience more precisely is complicated by the fact that different fields including engineering , emergency response, ecology, psychology, and business use the term to mean slightly different things. But each definition, they conclude, will rest on one of two essential aspects of resilience: being able to go on and to regain one's position in the face of challenge.

 

2017年慶應義塾大(理工学部)第1問では

 

Resilience presents a challenge for psychologists. Whether you can be said to have it or not largely depends not on any particular psychological test but on the way your life unfolds. If you are lucky enough to never experience any sort of adversity, we won't know how resilient you are.

 

このように、英語でも「レジリエンス」が出題されいます。

 

パブリッシャーズ・レビューを読むことにより、学問をやっている人(出題者になり得る人)の間で流行っていることを知ることができます。

 

その中で興味があるものは、書籍を購入して読んでみるとよいでしょう。

 

個人的には、今回のパブリッシャーズ・レビューの中で以下の2冊が気になりました。

 

J・D・バナール『宇宙・肉体・悪魔 理性的精神の敵について』鎮目恭夫訳 瀬名秀明解説(みすず書房

 

 

松尾梨沙『ショパン詩学ピアノ曲《バラード》という詩の誕生』(みすず書房

 

 

 

 

 

興味があれば、過去の記事もご覧ください!

 

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