「一流の人は学校の先生にならない」は嘘?
前回、森博嗣『勉強の価値』の中から
一流の人は学校の先生にならない
という話を取り上げました。
しかし、世の中には一流の人がいる学校もあります。
(「一流」と「一流でない」の判断は難しいので、ここでは深入りしません)
以下の記事で、書道科の大野幸子先生が紹介されています。
大野幸子先生は、桜蔭で非常勤講師をされながら、次の活動にも従事されています。
・全日本書芸文化院 役員
・明治神宮書道会 審査委員
・NHK文化センター青山教室 仮名講座 講師
・読売書法会 理事
・臨池会 理事
・東方書道院 同人
・書学書道史学会 会員
このように一流の書道家として客観的に評価されている人が、学校の先生になっているのです。
これは一例ですが、探してみると「一流の人」が先生をしている学校もあるのです。
そして面白いことに、「一流の人」がいる学校は、いわゆる「偏差値が高い進学校」なのです。
一流の人がいるから偏差値が高くなったのか、偏差値が高いから一流の人が集まるようになったのかは分かりませんが(どちらもあり得ます)、このような学校は「一流の人」に先生をやってもらう重要さを理解しているのです。
ただし、「先生」と言っても「非常勤講師」であることがほとんどです。副業で学校の先生をやっているのです。
森博嗣さんの意見を少し修正し
一流の人は学校の先生(正規雇用)にならないが、(副業として)非常勤講師をやっていることはある
とする方が、現状を表していると思います。
森博嗣『勉強の価値』にも次のように書かれていますが、人に教えることで初めて気づけることもあるのです。
先生にだけはなりたくなかった僕が、どういうわけか教壇に立つことになった。それでわかったのが、人に教えることはもの凄く勉強になる、ということだった。
そういう意味では、「一流の人」が人に教える機会を得ようとすることは当然かもしれません。
「桜蔭」について知りたい人は、矢野耕平『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文春新書)を読んでみてください。
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