一流の人は学校の先生にならないという悲しい現実
(入試問題の題材となった本を読んだり、出題されそうな本を探したり、読書は仕事のひとつです。。。森博嗣の著作は『読書の価値』『孤独の価値』『自分探しと楽しさについて』などが入試問題になっていて、頻出著者のひとりです)
その中で、自分が薄っすらと考えていたことが見事に言語化されていたので、紹介します。
学校の先生は、その分野で一流なのではない。むしろ二流か三流の能力しかない。一流の才能の持ち主は、小学校や中学校の先生にはならない。もっと適した職業に就いた方が、経済的に得だし、時間的にも有利だからだ。不謹慎な話になるかもしれないが、学校の先生の給料を十倍にすれば、もっと才能が集まるだろう。
ときどき、「一流の選手はコーチには向かない。天才的な人には、ノウハウがない、初心者の状況が理解できない、才能のない者の気持ちがわからないからだ」といったもの言いが聞かれる。だから、二流や三流の才能に指導を受けた方が良い、という理屈らしいけれど、これは正しいだろうか?
一般論は存在しない、と思う。ケースバイケースであろう。ただ、僕は、学ぶならば一流から学ぶ方が効率が高い、と考えている。僕の経験では、例外なくそうだった。その分野のトップの人と議論をするのは有益だし、そういう先生の言葉からは、どんなに小さなものでも拾い上げ、砂金を洗うようにして価値を見つけ出すことができた。
小説を解説するが、実は小説を1つも書いたことがない国語の先生。
数学の質問をしても答えられない算数の先生(なんと中学校の数学でさえも!)。
自分の書いた絵が安値でしか売れない美術の先生。
洋書を読んだことすらない英語の先生。
これらはたとえ話ですが、恐ろしいことにこのような先生が学校にはたくさんいるのです。
自分が小学生、中学生、高校生だったときに学校の授業を聞く気になれなかったのは、「この人たちは本物でない」ということがすぐに分かってしまったからです。
力をつけようと思ったら、それだけの力がある人の近くにいる方が可能性が高くなるのです。
大学受験で言えば、東大に合格したいと思ったら、東大生が近くにいる環境が良いのです。
だから、多くの塾や予備校は東大生をアルバイトとして採用しているのです。
医学部予備校であれば、医学部に通っている大学生をアルバイトとして雇っています。
「本物」が近くにいることでしか、学べないことがあるのです。
いわゆる「自称進学校」の生徒たちが学校に不満を抱える理由は簡単で、「東大に受かったことがない先生が、東大受験を勧め、その指導を行っているから」です。
(指導力をつけるためにまずは先生自身が東大受験をしましょう、という研修を行ったら、おそらく全員が何らかの言い訳をしてやらないと推測できます。仮に、それで東大に受かったら、その学校を辞めて転職するでしょう。。。)
しかも、その指導内容が生徒から見てもわかるくらいに「的外れ」だから、より一層不満を抱えることになるのです。
東大の合格実績を伸ばそうとしている学校がたくさんありますが、それを実現するのは案外簡単です。
東大出身の先生を半数以上にする、東大生にアシスタントなどとしてアルバイトに来てもらう。
この2つを行うだけで、時間がたてば、東大合格者が増えていきます。
そのような取り組みが評判となって広がると、さらに東大志望者が集まり、合格実績が増えていくのです。
少し極端な例ですが、「鉄緑会」という塾はそれで有名になりました(講師の大多数が東大卒業生もしくは現役東大生)。
東大出身の先生を半数以上にする、東大生にアシスタントなどとしてアルバイトに来てもらう、というのは、文字にすると簡単なようですが、それを実行する学校は皆無です。
なぜなら、既存の先生(非東大卒)に反対されるから、そしてお金がかかるからです。
東大生をアルバイトとして雇うといっても、時給1000円では誰もこないでしょう。
「一流の選手はコーチには向かない。天才的な人には、ノウハウがない、初心者の状況が理解できない、才能のない者の気持ちがわからないからだ」
という話題もよく耳にします。
「勉強が得意でない先生の方が、わからない子の気持ちがわかる」と言われて、納得してしまう生徒や保護者も意外と多く存在します。
しかし、泳げない人に水泳を習っても泳げるようにはなりません。
当たり前の話です。
勉強ができない子の立場や考えに共感できるというだけで、勉強ができるようにはならないのです。
(この問題は難しいから解けなくても大丈夫だよ!という指導を繰り返すのです)
「勉強が得意でない先生の方が、わからない子の気持ちがわかる」というのを、売りにしている塾や学校もあるようですが、それは勉強が得意な先生を集められなかった言い訳をしているだけなのです。
少し過激な話もしてしまいましたが、冗談半分だと思ってください。
(次回へ続く)
過去の記事もご覧ください。
jukenn.hatenablog.jpjukenn.hatenablog.jp