優秀な指導者はどのような人物か
今回は「優秀な指導者はどのような人物なのか」について、有名な話を2つ取り上げてみます。
まず、1つ目です。
四書五経のひとつである『書経』には、「優秀な指導者の人物像」について紹介されている部分があります。
「四書五経」とは儒教に関する書物の中で特に重要な9つのことです。四書が『論語』『大学』『中庸』『孟子』、五経が『易経』『書経』『詩経』『礼記』『春秋』です。
その部分を引用します。
寛而栗(かんにしてりつ)
寛大であるが、厳しさもある
柔而立(じゅうにしてりつ)
柔和であるが、芯が通っている
愿而恭(げんにしてきょう)
慎重であるが、行動力もある
乱而敬(らんにしてけい)
有能であるが、他者を見下さない
擾而毅(じょうにしてき)
従順であるが、意志が強い
直而温(ちょくにしておん)
直情であるが、温和である
簡而廉(かんにしてれん)
大まかであるが、筋を通す
剛而塞(ごうにしてさい)
剛健であるが、思慮深い
彊而義(きょうにしてぎ)
行動力があるが、正義をもっている
簡単に言えば、対立する素質の両方を兼ね備えていくことが大切であるということです。
中国ではこの考え方が浸透していて、それを表すのが下の太極図です。
1度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
例えば、寛大さと厳しさの両方を備えておき、そのときの状況に応じて臨機応変に使い分けていくことが重要なのです。
寛大すぎてなんでも許してしまう指導者も、厳しすぎて怖ろしい指導者もダメなのです。
次に2つ目です。
「教師は五者たれ」
という有名な格言があります。
誰が言い始めたのかは分かりません…
五者とは
学者、医者、役者、易者、芸者
のことです。
学者のように、自ら学び知識が豊かである
医者のように、生徒の状況を把握する
役者のように、生徒を魅了する
易者のように、生徒の将来を判断する
芸者のように、生徒のやる気を上げる
という5つの仕事(役割)をできる人が優れた指導者であるということです。
特に1つ目を忘れがちです。
自分は勉強しないのに、生徒には勉強しろと言う指導者も残念ながらたくさんいます。
ここでの本題ではないので深入りはしませんが、自分は本を読まないのに子供に本を読めと言う親ってたくさんいますよね…
自分は100点を取ったことがないのに、子供に100点を取れと厳しく指導する親もいますね…
客観的に見て、非常に滑稽な状況です。
子供に勉強してほしければ、親や指導者自身が子供以上に勉強すればよいのです。
その様子をみて、子供も勉強します。
「入試問題を解け!」と指示するのではなく、一緒に解くくらいでちょうど良いのです。
その他4つも、指導者としては当然のことですね。
予備校講師や塾講師、学校の先生でうまくいっていない人、また、これから目指そうとしている人はこのあたりを考えてみると良いのではないでしょうか。
少しでも参考になれば、幸いです。
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