【高校生の疑問に答える】学校の定期テストは捨てる(?)
大学受験にあたって、多くの高校生が避けられない問題に直面します。
それは
「学校の定期テストの勉強をするべきなのか?」
という問題です。
・定期テストの勉強は受験での勉強につながる
・定期テストで点数を取れない人が、大学入試で点数を取れるわけがない
・高校に通っているのだから、学校の試験で良い点数を取ろうとするのは当たり前
など「定期テストの勉強をするべき」という意見がある一方で
・定期テストで点数が取れなくても、入試本番で点数を取れればよい
・定期テストの勉強は時間の無駄
・学校の先生が作る問題は入試問題とかけ離れたものが多い
など「定期テストの勉強をする必要はない(してはならない)」という意見もあります。
結論を出しましょう。
一般選抜で受験する人は
学校の定期テストの勉強をするべきではない
というのが答えです。
(言うまでもなく、学校推薦型選抜や総合型選抜で学校の成績が必要な人は、定期テストの勉強をするべきです。今回の話は一般選抜で受験する人を対象とします。)
もう少し詳しく言えば
・受験科目の定期テストは勉強せずに受けて、有効活用しよう
・受験科目でない定期テストは、完全に捨てよう(留年だけには気をつけて)
となります。
具体的に考えていきましょう。
①定期テストの点数は合否に無関係
当たり前ですが、定期テストで50点の人も、定期テストで90点の人も、入試本番で何点取れるかだけで合否が決まります。
定期テストで何点を取ろうが、その点数は合否に直接影響することはないのです。
そのため、そんな試験で高得点を取ろうとする必要はないのです。
入試本番で合格点を取ることを目指して、日々の勉強を進めるべきです。
②定期テストの勉強に使う時間を受験勉強に使うべき
受験勉強の計画を崩したり遅らせたりしてまで、定期テストの勉強を進める必要はありません。
実際、かなり多くの時間を捨てることになります。
定期テストが年間5回あり、2週間前から対策をすると仮定します。定期テスト期間が1週間あるとして、合計3週間が定期テストに費やされることになります。
1年間で15週間、3年間で45週間(約10ヶ月!)の時間を使うことになるです。
この時間を受験勉強に使うことができれば、どれだけ実力を伸ばすことができるでしょうか…という話です。
③勉強しないで受ければ、定期テストを有効活用できる
「定期テスト」がムダというわけではなく、「定期テストの勉強」がムダなのです。
定期テストを受けることは確定しているので、それを有効活用することを考えてみましょう。
模試の代わりに使えばよいのです。
つまり、実力試しとして定期テストを受ければよいのです。
そのためには、定期テストの対策をしてはいけません。対策をしてしまうと、本来の実力以上の点数になる可能性が高いからです。
例えば、英語の定期テストでは、テスト範囲の文章(授業で扱った文章)と全く同じものが出題されることが多いです。日頃の授業も内職するなどして無視して、事前に勉強をしなければ、初見の文章になります。
こうすることにより、定期テストが模試になるのです。
悪問が出て点数が低くなっても気にする必要はなく、得点すべき問題ができているかどうかを気にすればよいのです。
④その他
・定期テストの勉強もできて、さらに入試本番でも合格点を余裕で取れる人は、特に考えずに両方頑張ればよいでしょう。経験上、このような人は少数ですが。
・高校卒業を目指している人は、「留年しない」「卒業できる」を最低限の目標にしましょう。定期テストの点数がかなり悪くても、先生と相談すれば何とかなる場合が多いです(最下位の人でも進級して卒業しています)。
・いくつかのサイトを見ましたが、「定期テストは捨てよう」と書きながら、直前3日程度は勉強して、少しは点数を取れるようにしようと書いてあるページもありました。
しかもその理由として、学校の先生に嫌われると受験に必要な情報がもらえなくなるからと書かれていて、腰を抜かしそうになりました。
受験に必要な情報は高校からもらうのではなく、大学からもらうのです。(大学のwebページなどで発表されます)
そもそも、定期テストを捨てている生徒を嫌うという発想が理解できません…
・次の文章も参考にしてください。
森毅『数学受験術指南』(中公文庫)からの引用です。
森毅氏は、東京大学理学部数学科を卒業した後、京都大学の教授になった非常に有名な数学者です。この本には、大学入試の採点などについても書かれていて、受験生も指導者も一読しておくことを薦めます。
受験が遠い目標なのだから、目先きのことにコセコセしてはいけない。いまダメでも、最後に入試に通ればよいのだ。
これは、数学のつきあい方としても、鉄則だろう。数学とうまくつきあう法、数学を好きになり、数学からも好かれる法、それはアセリが禁物だ。それは、異性とのつきあいのようなものだ。
目先きのテストによい成績をとること、そんなことは無視したほうがよい。高校だと、あまりヒドイと留年するが、留年さえしなければよい。
内申書のない大学が多いから、高校の成績がビリだって、入試をうまくやれば大学へ入れる。その一方で、高校でトップだって、大学入試には関係ない。最後のゴールインが問題なので、それ以外のことはクヨクヨするまい。
だから、テスト前の勉強は、留年の危機がないかぎり、絶対にするな。数学に関する限り、試験前に勉強して実力がつくことは、ほとんどない。実力以上に成績がよくなったりしては、それがマチガイのもとになる。どうせ入試のときには、わからない問題が出るのだから、わからないときの訓練と思って、テストを受ければよいのだ。
成績を上げるかわりに実力をつけること、つねに実力以下の点数がつくように心がけること、これが受験数学以前の勉強法である。
(中略)
その苦手の英語をものにするのには、あまり人にはすすめられない、特殊な方式をとった。三年の一年間、英語のリーダーにいっさい手をふれない誓いをたてたのである。
そのかわり、他の中学で使っているリーダーを買ってきて、それといくつかの受験参考書とを独学した。授業中は、リーダーを見ずに、ほかのことをする。いまでいう内職だが、そのときは受験勉強というより、小説かなにか読んでイキヌキをしているのが多かったように思う。
それで、当てられると、「わかりません」と解答拒否をする。つまり、実質的には、完全な授業ボイコットである。
そうすると、学校のテストは、完全な実力テストになる。たまに一題ぐらい、比較的易しい問題が出たりして、友人に聞くと、それだけがリーダーにない問題だったりした。
これは相当に危険な方法で、下手をすると落第してしまう。そうしたスリルに身をおいて、なんとかやってのけようとしたわけだ。
これがよかったかどうか、いまだにわからないし、かなり度胸がないと、うまくいかないと思う。それにしても、英語のテストというのが、習ったところから問題が出るというのが、どうも腑に落ちなかった。
少なくとも、高校へ入ってからや、入試に向かっては、よかったような気がしている。
・あまり大きな声では言えませんが、東大に何十人も合格するような高校では「内職」は横行しています。参考までに。
・人によって置かれている環境は異なりますが、その環境に文句を言うだけでなく、有効活用を考えていくことが大切です。
以上、定期テストに関する話でした。
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