受験百景(予備校講師のブログ)

「受験」や「入試問題」に関係する話、日々の雑感を様々な視点から書きます。備忘録も兼ねていますので、くだらない話もあるかもしれません。

佐藤大八郎の方程式 ― 2019年藤田医科大学・推薦

 

 2019年 藤田医科大(推薦)で以下の問題が出題されていました。

 


x\gt1,y\gt1のとき連立方程式\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
x^3 = y^4 \\
x^y = y^x 
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}の解は,x=(  ),y=(  )である.


 

x^y = y^x  という方程式は佐藤大八郎という数学者が研究しました。 

 

今回は、この藤田医科大の解答の代わりに、次の問題の解答を考えてみます。

 


x^y = y^x (0\lt x \lt y)を満たす有理数 x,y をすべて求めよ.


 

解答は次のようになります。

 

x^y=y^x の両辺を \dfrac{1}{x} 乗して

  x^{\frac{y}{x}}=y

両辺を x で割って
  x^{\frac{y}{x}-1}=\dfrac{y}{x}

\dfrac{y}{x}=t とおく.0\lt x\lt y より 1\lt\dfrac{y}{x} すなわち t\gt1 である.また,t有理数である.
  x^{t-1}=t
両辺を \dfrac{1}{t-1} 乗して
  x=t^{\frac{1}{t-1}}
t^{\frac{1}{t-1}}有理数となるような t を求める.

p,q \ (p\gt q) を互いに素である自然数として,t=\dfrac{p}{q} とおく.

\left({\dfrac{p}{q}}\right)^{\frac{1}{\frac{p}{q}-1}}=\left({\dfrac{p}{q}}\right)^{\frac{q}{p-q}}\ \ \cdots ①有理数となるような自然数 pq \ (p\gt q) を求める.

p-q=r \ (\geq 1) とおくと,pq が互いに素であるから p-q \ (=r)q も互いに素である.

よって,①が有理数になる条件は,分子 p と分母 q がともに整数の r 乗になることであり,m,nm\gt n\geq 1 を満たす整数として
  p=q+r=m^r,q=n^r
とおける.
  r=m^r-q=m^r-n^r
  =(m-n)(m^{r-1}+m^{r-2}n+\cdots+mn^{r-2}+n^{r-1})

となり、(m^{r-1}+m^{r-2}n+\cdots+mn^{r-2}+n^{r-1}) を②とおく。

r\geq 2 と仮定すると,②は r 個の自然数の和であり,m\geq 2 であるから,②\geq r+1 である.m-n\geq 1 であるから,これは左辺が r であることに矛盾する.

よって,r=1 であり,このとき
  p=q+1,t=\dfrac{p}{q}=\dfrac{q+1}{q}=1+\dfrac{1}{q}

したがって,q を任意の自然数として
  x=t^{\frac{1}{t-1}}={\left(1+\dfrac{1}{q} \right)^q}
  y=tx=\left(1+\dfrac{1}{q} \right)\left(1+\dfrac{1}{q} \right)^q={\left(1+\dfrac{1}{q} \right)^{q+1}}

 

(解答おわり)

 

 

この類題が1991年東大・後期2015年名古屋大に出題されているので、メモしておきます。

 


(1) 省略

(2) 省略

(3) 3^x=x^3を満たす正の有理数は,3以外に存在しないことを示せ.

(1991年 東大・後期)

 

 


(1) 省略

(2) 省略

(3) 方程式 2^x=x^2の解で有理数であるものをすべて求めよ.

(2015年 名古屋大)