受験百景(予備校講師のブログ)

「受験」や「入試問題」に関係する話、日々の雑感を様々な視点から書きます。備忘録も兼ねていますので、くだらない話もあるかもしれません。

入試問題鑑賞『なぜ、「夕焼けは晴れ、朝焼けは雨」なのか。』

 

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2000年 東京大学(前期日程)地学 大問2です。

  


あなたの気象の知識を使って、以下の疑問に、それぞれ50字以上100字以内で解答を与えよ。

問1 なぜ、「夕焼けは晴れ、朝焼けは雨」なのか。

問2 なぜ、晴れた夜は冷え込むのか。

問3 なぜ、山の天気は平野の天気より変わりやすいのか。

問4 地球表面の7割は海面で、海面から絶えず水蒸気が蒸発しているのに、なぜ大気全体が水蒸気で飽和しないのか。

問5 ロンドン(北緯51度)より札幌(北緯43度)の緯度が低いのに、なぜ、ロンドンの冬(1月の平均気温は+3.8℃)のほうが札幌の冬(1月の平均気温は-4.6℃)より暖かいのか。


 

日常の疑問を入試問題にした、東大らしい問題です。

 

見た目が面白い入試問題を紹介することが目的で、この問題を解くことが目的ではないですが、答えが気になるかも知れないので、考え方の概略を述べておきます。

 

問1:天気が西から東に移動していくことを用いて考えます。「夕焼け」は太陽が沈む西に雲がないことを示すので、翌日の天気は晴れになると予測できます。また、「朝焼け」は東に雲がない(≒西に雲がある)ことを示すので、天気は悪くなっていくと予測できます。

問2:晴れた夜は雲がなく、水蒸気が少ない状態です。そのため、地表から跳ね返った熱がそのまま逃げていくことになります。水蒸気は温室効果ガスの一つなので、それが少ないと、温度が下がっていくということです。

問3:山は平野に比べると地形が複雑で、太陽光が当たるところと当たらないところが生じます。すると温度差ができ、空気が移動することになります。この空気の移動が、上昇気流や下降気流になり、天気を変化させるのです。

問4:大雑把に言えば、空気が循環しているからです。例えば、上昇気流が発生すると、水蒸気は雨となり、海に戻ります。

問5:札幌は大陸の東岸にあり、大陸では高気圧が発達しているため、大陸の冷たい空気が札幌に流れ込みます。また、ロンドンは大陸の西岸にあり、大西洋の高気圧から(南から)の暖かい空気が流れ込みます。

 

 

地理の大学入試問題や、中学入試・高校入試の問題で類題があるかもしれません。時間があるときに探してみようと思います。