東京女子医科大学の偏差値は下がるか(?)
東京女子医科大学が、6月から対面授業を再開する準備を進めています。
さらに、学生約1000人にPCR検査を受けさせ、陰性者のみを登校させる対応をするようです。
この判断に批判が集まっています。
東京女子医大「全員PCRで授業再開」に学生反発 「検査の必要あるか」「感染不安」...嘆願書も(J-CAST)
上記の記事では学生や保護者の声が紹介されています。一部引用させていただきます。
「地元ではコロナ患者・疑いの人に対し厳しい印象を持つ人が多い。感染者が多い東京に一度でも行ってしまうと、かなり長い間地元に帰れなくなってしまう懸念があり心配である」
「県外から通っており、高齢者と同居する私としては感染リスクを限りなく少なくしたいです。現在感染リスクが高い東京に向かうことが大変不安です」
「どう努力しても3密を避けられない状況で、たった1回の『感度は低く特異度が高い』検査をするメリットと、無症状の陽性者や偽陰性者と濃厚接触するデメリットを考えて頂きたい」
「検査キットそのものだけでなく、検査をされる先生方や検査技師の方々の労力や時間など、貴重な医療リソースは本当に必要としていらっしゃる方のために使うべきではないですか。意味や必要がない検査は患者への負荷も考えて行うべきではないと授業で何度も習ってきました」
「たしかにオンライン授業は今までの対面授業より質は低いですが、慣れてもきたのでコロナが落ち着くまではオンライン授業の方が学生としては安全です。学校は大学病院の敷地内にあるので、信頼して通院や入院をしてくださっている患者さんのためにもなると思います」
「臨床実習があって病院に行かないと単位が取れない5、6年生は、PCR検査を必須にするのは仕方ないとは思います。といっても無症状で、偽陽性・偽陰性の可能性を考えると、受ける必要性をあまり感じないというのが5年生たちの意見です」
「なぜ焦って6月から開始するのか理由が知りたいです。わざわざマスクとゴーグルとフェイスシールドを着けてまで授業に臨まないといけないのか。そこまでしてやりたいのはなぜなのか。ここまで強硬的にやられてしまうと裏があるのかと考えてしまいます。たとえば、学費返還といった動きが出るのが嫌だからとか、PCR検査の結果をもとに教授が論文でも書きたいのかなどです。そういう風に色々と考えてしまいます」
「地方の学生が一日だけ東京に行って検査をして帰ってくることがもし地元でばれてしまったら、自粛警察ではないですけど、周囲に非難されるとか、東京に行ったためにコロナに感染したらそれも非難される。親が開業医の学生も多くて、(院内感染が広がったら)病院の経営に影響します。それを懸念する保護者も多いです」
「あとは検査代、交通費代も自己負担ですし、今はバイトも一切禁止で処分の対象なので、その中で強制的に支出させるのは疑問が残ります」
「学生たちはあくまで学びたいということには変わりはないです。きちんと情報を共有してくだされば、ここまで反発は起きなかったと思います。大学には今後、情報開示を強く求めます」
これらの中で、「学費返還」を嫌うというのは大きな判断材料の1つかもしれません。
東京女子医科大学は「大学再生計画」を掲げ、外部評価委員会も設置しています。
これは、2014年2月に東京女子医科大学病院で起きた医療事故をきっかけとして、内部の教員などの不満が社会に表出したことを受けて、作成されたものです。
その中には「財務改善」という項目があります。
平成26年からの赤字を、平成29年には黒字に転換させたと報告書にはあります。
東京女子医科大学の赤字は有名な話で、様々なところで取り上げられています。
もちろん、「学費」だけが問題ではないと思います。
平成31年で「再生計画」は終了しているようですが、今も学内では多くの問題があり、職員や教員の不満が溜まってると推測されます。
学生の声にあるように、「情報開示」をしないというのが東京女子医科大学の特徴です。
以前も記事にしましたが、2020年度入試で出題ミスをしているにも関わらず、問題すら公開せず、「不適切ではない」と結論付けているような学校です。(いまだに今年度の入試問題を公開していません!)
東京女子医科大学はこのように、数多くの問題を抱えている学校です。
今年も悪い評判が流れることになってしまいました。
入試の難易度は落ちるのでしょうか(?)
医学部受験生にとっては、穴場になるでしょう(?)
模試の自宅受験にメリットはあるのか?
公開会場での実施を中止した模試を「自宅受験」に切り替える動きがあります。
そこで、模試を自宅受験することのメリット・デメリットを率直に考えていきます。
そもそも模試を受けることのメリットとして、どのようなことがあるのかをいくつか列挙してみます。思いついた順に書いていくので、似たようなものが並ぶかもしれません。
・偏差値を見て、自分の学力を把握することができる。
・志望校の中での順位を知ることができる。
・各科目の中で何が苦手なのかが分かる。
・時間制限や緊張がある中でのアウトプットの練習になる。
・模試の問題は良問が多いので、復習することで実力向上につながる。
・記述の解答を第三者に採点してもらえて、どこで減点されるかが分かる。
・東大模試などの冠模試(大学別の模試)は本番の予行練習になる。
・成績優秀者に載ることを目指すなど、モチベーションの維持になる。
・成績が良いと図書カードがもらえたり、特待生になったりする。
こんなところでしょうか?
「自宅受験」になると、この中のいくつかがなくなることになります。
・偏差値を見て、自分の学力を把握することができる。
・志望校の中での順位を知ることができる。
・各科目の中で何が苦手なのかが分かる。
・時間制限や緊張がある中でのアウトプットの練習になる。
・模試の問題は良問が多いので、復習することで実力向上につながる。
・記述の解答を第三者に採点してもらえて、どこで減点されるかが分かる。
・東大模試などの冠模試(大学別の模試)は本番の予行練習になる。
・成績優秀者に載ることを目指すなど、モチベーションの維持になる。
・成績が良いと図書カードがもらえたり、特待生になったりする。
容易に想像できますが、「自宅受験」では不正をする受験生は出てきます。
・時間制限を無視する。
・参考書や問題集で調べながら解答する。
・友達と協力して解く。
・事前に解答を入手して、それを写す。
このような行為をして、高得点を目指すのです。
人数にもよりますが、データが不正確になってしまいます。
また、不正行為をしていなくても、緊張感がない中で解くと、本当の点数とはズレが生じてしまいます。
このような理由で、偏差値や順位、合格可能性の判定などは、例年に比べて「参考程度に」と言わざるを得ません。
一方で、しっかりと取り組めば
・各科目の中で何が苦手なのかが分かる。
・模試の問題は良問が多いので、復習することで実力向上につながる。
・記述の解答を第三者に採点してもらえて、どこで減点されるかが分かる。
のように、他の受験生が影響しない部分では有意義に活用することができます。
春や夏の時期には、「実力判断」よりも「実力向上」に模試を使うことが大切なので、そういった意味では、自宅受験でも影響は小さいでしょう。
模試の結果に一喜一憂することしかできないような受験生は、例年以上に淘汰されることになります。
受験の形態によらず、「どうすれば目の前の教材を自分の力に変換することができるのか」を考え抜いた受験生が合格を勝ち取れるのです。
〈これ以降はあまり大事ではありませんが…〉
・成績が良いと図書カードがもらえたり、特待生になったりする。
という項目についても考えておきます。
これについては情報が入ってこないので、どうなるのか分かりません。
仮に自宅受験した模試の成績で特待生になれるのであれば、全力で不正をする人も出てくるでしょう。場合によっては、何十万円も得することができます。
(自分が受験生だったら、はじめにきちんと解答したうえで、それをコピーして残してく。その後で、解答を入手する、参考書で調べるなどして、提出する答案は高得点を取れるようにすると思います。これは「偽計業務妨害」になるのでしょうか…)
佐藤大八郎の方程式 ― 2019年藤田医科大学・推薦
2019年 藤田医科大(推薦)で以下の問題が出題されていました。
のとき連立方程式\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
x^3 = y^4 \\
x^y = y^x
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}の解は,である.
という方程式は佐藤大八郎という数学者が研究しました。
今回は、この藤田医科大の解答の代わりに、次の問題の解答を考えてみます。
を満たす有理数 をすべて求めよ.
解答は次のようになります。
の両辺を 乗して
両辺を で割って
とおく. より すなわち である.また, は有理数である.
両辺を 乗して
が有理数となるような を求める.
を互いに素である自然数として, とおく.
とおくと, と が互いに素であるから と も互いに素である.
よって,①が有理数になる条件は,分子 と分母 がともに整数の 乗になることであり, を を満たす整数として
とおける.
となり、 を②とおく。
と仮定すると,②は 個の自然数の和であり, であるから, である. であるから,これは左辺が であることに矛盾する.
よって, であり,このとき
したがって, を任意の自然数として
(解答おわり)
この類題が1991年東大・後期と2015年名古屋大に出題されているので、メモしておきます。
(1) 省略
(2) 省略
(3) を満たす正の有理数は,3以外に存在しないことを示せ.
(1) 省略
(2) 省略
(3) 方程式 の解で有理数であるものをすべて求めよ.
入試問題鑑賞「水戸黄門」
※「入試問題鑑賞」では、解答を出すことではなく見た目を楽しむことに重点を置いて入試問題を紹介しています。
2011年 茨城大学・理学部 数学 の問題です。
水戸黄門,助さん,格さん,弥七,お銀,八兵衛の6人が左から右へこの順番で1列に並んで座っている。6人が席を入れ換える。どの並びかたも同様の確からしさで起こるものとする。このとき以下となる確率を求めよ。
(1) 助さんと格さんが両端に座る。
(2) 水戸黄門とお銀が隣どうしに座る。
(3) 最初と同じ席に座る人がちょうど3人。
(4) 最初と同じ席に座る人がいない。
「水戸黄門」を題材にした問題です。面白い。
数学的には「完全順列(攪乱順列)」をテーマとしています。
(4)のように、全員がバラバラになる順列のことです。
「2004年東工大・後期」や「2015年兵庫医科大」でこれを一般化したものが出題されているので、いつか取り上げたいです。(備忘録)
学校のセンスは細部に宿る(筑波大附属高校)
「筑波大附属高校」という学校の入試問題を見ていて面白いものを見つけました。
冊子の透かし防止の模様です。
「透かし防止」をしておかないと、問題冊子が配られてから試験開始までの数分の間に、最初のページの内容が見えてしまいます。
うっすらと一部が見えるだけでも、頭のいい受験生は解き進めることができます。
そこで、問題作成者側は「透かし防止」をするのです。
例えば、東大は表紙の裏を灰色にしています。
筑波大附属高校は次のような模様を印刷して、透かしを防いでいました。
(イメージを再現したもので実物とは異なります。)
面白い工夫です。こういう小さいところにも学校のセンスが現れます。
「筑波大附属高校」に関連した記事を以前に書きました。
興味があったら、読んでみてください。
『ファクトフルネス』ー 受験生版(後編)
前編の続きです。
6.パターン化本能(「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み)
受験生は、ひとりの意見を鵜呑みにしてしまうことが多いです。
「合格体験記に書いてあったから」「先生が言っていたから」「親に薦められたから」というような理由で、問題集を選ぶこともあるようです。
「その人には合っていた勉強法なのかもしれない、自分にはどうだろう」という視点を持つことが大切です。
書籍や人からアドバイスをもらうときは、必ず複数の意見を集めるようにしましょう。
そして、よく検討しましょう。
7.宿命本能(「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み)
「自分は高3になってから始めたからもう間に合わない、浪人しようかな…」
このように思っている受験生も多く存在します。
志望校にもよりますが、まともに勝負する必要がないときもあるのです。
よくある話ですが、受験予定校に新しい入試方式が新設されたことに気づいていない受験生もいます。
過去の受験者の常識を適用すると合格は難しくても、今年は違うかもしれないのです。
もちろん、入試制度など外的な要因に頼るのではなく、自分の努力や工夫次第で何とかなる場合がほとんどです。
勝負する前から、自分は負けると決めつけるの非常にもったいないことです。
8.単純化本能(「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み)
「〇〇という問題集をやっていれば合格できる」「〇〇という塾に行けばいい」のように、深く考えずに勉強に取り組んでいる受験生も多いです。
受験はそこまで単純ではありません。
「〇〇という問題集をやっていれば合格できる」ではなく、「有名な〇〇という問題集を基幹にしながら、自分は〇〇が苦手だから〇〇という問題集で補強しよう。その上で、実力をチェックするために、〇〇も活用しよう」というように複合的に考えることが欠かせません。
上位層の人たちは、自然とできています。
9.犯人捜し本能(「誰かを責めれば物事が解決する」という思い込み)
「自分の通っている学校は進学校じゃないから…」「親の頭が良くないから…」「担当の先生がハズレだから…」のように誰か他者のせいにする受験生も数多くいます。
誰かを責めたところであなたが合格するわけではないのです。
環境に文句を言う前に、自分の出来ることを増やしていくべきです。
優秀な人はどんな環境でも、その中で最善を尽くそうと、頭を働かせています。
10.焦り本能(「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み)
「模試がE判定だった、すぐに何とかしなければ」のように焦ってしまう受験生がいます。
まずは、深呼吸しましょう。
すぐに何かをやって、急にE判定がA判定になることはありません。
それが出来る人は最初からA判定です。
返却された成績をよく分析することが大切です。そして、日々の学習を補正するのです。
数日ではなく数ヶ月という長期的な視野で勉強を進めているわけですから、1回の模試で抜本的に変える必要はありません。
落ち着いて、じっくりと目の前の勉強に取り組みましょう。
《おまけ》
『FACTFULNESS』で提示されているクイズに挑戦できるwebサイトがあるので、載せておきます。
『ファクトフルネス』ー 受験生版(前編)
『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』(日経BP)という本があります。
貧困、人口、教育、エネルギーなど世界の数多くの問題について、一般人も専門家も勘違いをしていることを紹介し、事実に基づく正しい世界の見方や知識を提示していく、という内容の本です。
例えば、次のような問いが載っています。
世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう?
A 低所得国
B 中所得国
C 高所得国
↓
↓
↓
↓
↓
答えはAです。
発展途上国と先進国を頭に思い浮かべてください。世界では多くの人が発展途上国で貧しい生活を送り、先進国で裕福な生活をしているのは一握りの限られた人です。
と考えたいところですが、以上の類推は誤りです。
本当の答えはBです。
世界は発展途上国と先進国の2つに分かれているわけではないのです。大多数の人はその中間にあたる生活を送っているのです。
世界が発展途上国と先進国に分かれていたのは1965年頃の話であり、2020年現在には世界は大きく変わっているのです。所得や生活水準は大きく改善しています。
学校で、世界には「先進国」と「発展途上国」があります、と教わると何となく納得して、そうなのかぁと思ってしまいます。でも、その知識は50年以上も前のものです。
こうなってしまう原因を、人間には「分断本能」があるからだと説明しています。
このように人間には本能(思い込み)があり、それに引きずられて誤った方向に進まないように警鐘を鳴らしています。
事前にどのような思い込みに陥りやすいかを知っておくことによって、それを防止できるのです。
『ファクトフルネス』では以下の10個の人間の本能(思い込み)が紹介されています。
1.分断本能 …「世界は分断されている」という思い込み
2.ネガティブ本能 …「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
3.直線本能 …「世界の人口がひたすら増え続ける」という思い込み
4.恐怖本能 … 危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み
5.過大視本能 …「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み
6.パターン化本能 …「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み
7.宿命本能 …「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
8.単純化本能 …「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
9.犯人捜し本能 …「誰かを責めれば物事が解決する」という思い込み
10.焦り本能 …「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
さて、ここからが本題です。
「これは受験勉強にも生かせる」とこの本を読みながら感じました。
少し改変をすれば、受験勉強をしている際の思い込みに対して、注意を与えるものになるのです。
1つ1つの本能(思い込み)を受験生向けに読み替えていきます。
受験勉強の参考にしてください。
1.分断本能(「世界は分断されている」という思い込み)
(ここでは全国上位1桁のような特殊な受験生ではなく、偏差値40~60程度の一般的な受験生について考えます。)
自分よりも成績がかなり上位の人がたくさんいる、そして下位の人もたくさんいる、と受験生は思い込んでいます。
しかし、実際には自分と同程度の成績の人がたくさんいるのです。
模試での分布を見るとわかるでしょう。上位と下位は少なく、中間層が最も多いのです。
自分より成績の低い人を見て安心感を得ようとする受験生もいます。
偏差値80を超えているような人と同じことをしようとする受験生もいます。
(世の中にある勉強法の大半は東大生などの勉強ができる人が書いているので仕方ない部分もありますが)
やるべきことは違うのです。中間層から抜け出して上位層に入る勉強をしなければならないのです。
偏差値75を偏差値80にあげる勉強をしても空回りするだけなのです。
自分の学力レベルの現状を正しく把握して、その上で何をすべきなのかを考える必要があるのです。
2.ネガティブ本能(「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み)
受験生は、自分の状況がどんどん悪くなっていると思いがちです。
模試はずっとE判定だ。偏差値がなかなか上がらない。
このような受験生がたくさんいます。
しかし、その捉え方はあまり良いとは言えません。
「悪い」と「良くなっている」は両立するのです。
そして、ゆっくりとした進歩は把握しにくいのです。
E判定の中でも偏差値や順位は上がっているかもしれません。
総合の偏差値が上がっていなくても、ある科目の偏差値は上がっているかもしれません。
数学の偏差値が上がっていなくても、ある大問で満点を取れるようになっているかもしれません。
「悪い」という状態の中にも「良くなっている」ことはあるのです。
模試が返却されて、「ああ、今回も悪かった…」で終わりにするのではなく、詳細を正しく分析することが大切です。
そして「良くなっている」ところを見つけ、自信をつけていくのです。そうすると、成績は上がっていきます。
3.直線本能(「世界の人口がひたすら増え続ける」という思い込み)
受験生は、勉強をすればするほど、成績はどんどん上がっていくと思い込んでいます。
実際はそううまくはいきません。急激に上がるときもあれば、下がるときもあるのです。
「20点を60点にする勉強」と「60点を100点にする勉強」とは量も質も全く異なります。40点という得点幅は同じですが、その内容は違います。
そのことを意識せずに、同じ勉強をしていても、成績は上がっていきません。
各個人の状況によりやるべき勉強は異なり、さらに時期や成績変化により、勉強内容や勉強法は変わっていくのです。
自分の状況に合った「勉強」を定めるのは簡単ではありません。学校や塾・予備校などの外部の環境も活用しましょう。
絶対的に適切な勉強をすることは難しいので、成績には波が生まれます。
しかし、長期的に見れば上がっていきます。忍耐強く勉強していくことが大切です。
4.恐怖本能(危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み)
これはここまでの内容と少し重複します。
志望校の判定や偏差値が落ちていることを「恐ろしい」と考えてしまう受験生がいます。
「恐ろしい」とパニックになるのではなく、正しく分析することが大切なのです。
人間は、悪いことや恐ろしいことに、自然と目がいってしまいます。
これは本能です。本能であると分かっているだけでも、正しい方向に向かうことができるでしょう。
5.過大視本能(「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み)
受験生は目の前の数字にとらわれがちです。
模試の成績表が返却されると、「偏差値がいくつ」「順位がどのくらい」ということを気にし過ぎてしまう人がいます。
しかし、模試はいま受けたわけではありません。その数字は1ヶ月以上も前の自分の姿を表した数字なのです。
「目の前の数字」はもちろん大切な指標になります。
その数字はあくまでも参考です。それも活用しながら、現時点での自分の成果点や課題点が何なのかを探ることが大切なのです。
模試を受けてから、成績が返却されるまでの期間で大きく変化しているはずです。
(後編へ続く)